1.金融機関と企業立地
私の研究テーマの1つ目は取引のある金融機関の立地と企業の移転行動の関係です。Fukuda, Kidokoro, Seta and Sato(2019)では、図1に示すような二時点の個別企業の立地と金融機関の立地のパターンを検討しました。結果、メイバンク関係にある金融機関が企業と同じ地域に立地している場合に、その地域から退出する動きが生じにくいことが明らかになりました。
図1. 企業立地と金融機関立地のパターン
出典:Fukuda, Kidokoro, Seta and Sato(2019)
2.地理的背景とイノベーション
2つ目の研究テーマは創業者の地理的背景が企業のイノベーション活動に及ぼす影響です。公刊社史に基づいて、図2に示すように、地方圏で創業した企業の創業者の地理的背景を類型化し、創業時に引き起こすイノベーションの新規性の高さとの関係を検討しました。大都市圏で得る知識・技術と地方圏での社会関係双方の重要性を示しました。
図2. 創業者の地理的背景の類型化
出典:福田・城所(2019)
3.都市システム
3つ目の研究テーマは企業間ネットワークによる都市システムの記述です。福田・城所・瀬田(2017)では企業間の取引ネットワークによる都市間の結合を示しました。図3に示すように、本支店間関係などの従来の指標で示すものとは異なる、都市間の依存関係が明らかになりました。
図 3. 取引ネットワークに基づく都市間依存関係
出典:福田・城所・瀬田(2017)
References
[1] Fukuda, R., Kidokoro, T., Seta, F. and Sato, R. (2019) Relocations are determined by firms’ relationships with financing institutions: A paper based on network data for Japanese firms. Papers in Regional Science, 98(4), 1685-1712
[2] 福田崚・城所哲夫 (2019)「創業者の地理的背景と創業時イノベーションの関係」『都市計画論文集』54 (3), 1379-1386
[3] 福田崚・城所哲夫・瀬田史彦 (2017) 「企業間ネットワークに基づく経済圏域間の結合関係」『経済地理学年報』63(3), 201-216