学部長メッセージ

岡山大学経済学部は、1980年に法文学部から独立して誕生しました。40年経った今では岡山大学の中で4番目に大きな学生定員をもつ学部に成長しています。

 皆さんは「経済がわかる」とはどういうことだと思いますか。今朝の為替レートを知っていること、去年の経済成長率を知っていること、それらはどれも大切な情報ですが、それらを断片的に知っているだけでは不十分です。わかるというのは、なぜそのような現象がおきるのか、なぜ人々はそのような行動をとるのか、そうした原因と結果の繋がりを理解することです。現実の経済社会は、一つの結果がさらに多数の事象の原因となり、その全体は因果関係が絡み合った非常に複雑な構造をしています。自然科学であれば実験によって因果関係をひとつひとつ分解できますが、経済を相手にする社会科学は、社会や企業を丸ごと研究対象にしなければなりません。そのため多彩な研究アプローチで対象に迫ることが不可欠になります。

 岡山大学経済学部には、経済学、経営学、会計学の専門領域を備えています。そこでは、理論的研究、歴史的研究、統計分析、事例研究など、様々な研究アプローチがとられています。この多様さが経済学部で学ぶ面白さであり、これによりはじめて経済という切り口から社会や人間が見えてきます。岡山大学経済学部に入学すると1年生向けに多くの専門基礎科目(専門分野を学ぶための入門系科目)が開講されていますので、それらの授業を受けながら自分にあったアプローチを見つけてください。そこを起点に学びを拡げていくと、現代社会を生き抜くために真に必要な広角の視点を得ることができます。

 経済学部では、2021年度にカリキュラム改革を行い、1科目あたりの専門教育時間(単位数)を増やし、教育の質を高める体制を整えました。また、社会や地域が抱える問題をリアルタイムに感じてもらえるよう、地域の経済界や自治体と連携したPBLProject-Based Learning:問題解決型学習)を充実させています。さらに、グローバルな視点を育てるため、異文化環境で活躍されている企業人によるALActive Learning)型の英語講義や学部独自の語学研修/留学制度を備えています。

学ぶ意欲に満ちた皆さんと岡山大学経済学部でお会いできるのを楽しみにしています。

経済学部長 古松 紀子