経済学部と工学部では,2012年度から『実践コミュニケーション論』を共同開講しています。文理融合型のアクティブ・ラーニングによって、コミュニケーション能力やチーム力など、社会人としての基礎力を養うことを目的としています。
今年度の成果として、2017年1月31日と2月1日の2日間、両学部の1~4年生40人がAとBの2クラス各4チームに分かれ、協力企業から提示された課題に対する提案を発表しました。
Aクラス ㈱ストライプインターナショナルへの提案
Aクラスの課題は、株式会社ストライプインターナショナルに対する「お客様の心に高揚感を生み出すような新しいライフスタイル事業の提案」。本社企画部の岡田泰治部長らから事前に会社概要や課題の背景を聴き、顧客・企業両方の視点から魅力的な提案作成に熱心に取り組みました。
そして、2017年1月31日、㈱ストライプインターナショナル本社企画部の高杉美奈子様と木下志穂様、山陽新聞社経済部の長田憲司記者、 (株)富士通ラーニングメディアの高橋みゆり講師を学外審査員としてお迎えし、チーム毎の成果を競いました。
優勝は、‶半径0メートルから広がる、ナチュラルな暮らし”をテーマに「部屋を彩る生活雑貨の販売」を提案したチームで、平野経済学部長から賞状が授与されました。成長率の高い雑貨に着目し、雑貨+服+空間を借りることができるレンタルルームを利用してもらうことで経験価値を提供し、顧客に自分の部屋にもこの雰囲気を取り入れたいと感じさせる戦略を立案しており、まさに‶お客様の心に高揚感を生み出す”ストライプ様の目指す方向と一致していたことで、審査員からも学生からも高評価を受けました。
ストライプ賞は、3Dスキャナでアバターを作成し、オンライン上で着せ替えできるデジタル試着アプリ『Smart Fit』を提案したチームに授与されました。自分に似合うか、サイズが合うか不安というオンラインショッピングの課題を解決するサービスで、ストライプの高杉様、木下様から「自分でも利用してみたいと思った。幅広い世代にニーズがある。市場分析や利益、将来戦略まで描いていた事も良かった。」と御講評いただきました。
学外審査員からのコメント
本講義の前半に基礎スキルを教えてくださった高橋講師からは「どのチームも具体的な論拠を提示して説明をしており、納得させられるプレゼンテーションだった。皆さんの成長を感じられて嬉しい。」とコメントを頂きました。
5年連続で審査員を務めて下さっている山陽新聞社の長田記者からは「実際にやってみて、成功するか失敗するかはわからない。失敗した時にくじけてしまうのではなく、失敗した原因を分析して次に何をしていけばいいのかを考え
て行動できるのが社会人である。今回の貴重な経験を、是非、今後の学生生活、社会生活に役立ててください。」とお言葉を頂きました。
学外・学内審査員の皆様方、長時間に渡り学生たちの発表を観てくださいまして、誠にありがとうございました。皆様から頂いた質問、アドバイス、そして社会人を前に発表する空気感、すべてが学生にとって貴重な糧になることと思います。心より御礼申し上げます。
最後に、本当に本当に本当に僅差で惜しくも賞を逃してしまったチームの提案も素晴らしかったので、ご紹介します。
「アパレルのスマホはイヤですか・・・?」・・・若者にとって超必需品でライフの一部ともいうべきスマホに着目し、ビッグデータ活用で事業拡大の可能性を持つスマホ事業に参入する提案。顧客の多くが女性であり、全国1200以上の店舗を持つストライプ様は、女性ユーザの獲得と窓口対応が課題である格安スマホ業者にとって、Win×Winの関係を築ける提携先である、と論理的にわかりやすく展開しました。
「Infinity」・・・大量に捨てられる服に新たな次の道を作りたい!というチームの想いがこめられた提案でした。2週間前のプレ発表で「古着ビジネスはリスクが大きい」と多くの厳しい指摘を受けましたが、一貫して古着にこだわり、訪日外国人をターゲットに、和服をパジャマにリメイクし、ホテルを通じて販売するサービスを提案しました。訪日外国人の消費動向調査や、日本製品を紹介するキュレーションサイトのアクセス数の解析結果も示され、興味深くまとめられていました。
どの発表からも、試行錯誤し激論を交わし考えに考え抜いた末に出てきた自分達の〝誇れる提案“ であることが伝わってきて、胸が熱くなりました。チームで何かを成し遂げるって、難しいけど面白い!ということが体感できたのではないでしょうか。
受講生の皆さん、本当にお疲れ様でした。
Bクラス 倉敷化工㈱への提案
Bクラスの課題は、倉敷化工株式会社に対する「防振ゴムの技術を使った新商品の提案」。倉敷市にある本社工場を見学し、そこからヒントを得てアイデアを膨らませ、アンケートやヒアリングを通じて商品に対する消費者ニーズも把握し、提案を作成しました。
2017年2月1日の成果発表コンペでは、倉敷化工株式会社の藤井徹開発部長、原田一誠技術研究所長、山陽新聞社の岡山一郎論説委員、岡山情報文化研究所の神田將志上席研究員をゲスト審査員としてお迎えしました。各チームからは「ドローン×防振ゴム」「ハイヒール×防振ゴム」「ゆらゆらベビーカー」「防振ゴム×自転車」「防音耳栓」などユニークな企画案が出され、企業や社会への貢献を念頭に議論を重ね提案された商品であることが伝わってきました。
- あじさいチームの提案は、「トローン×防振ゴム」、「ハイヒール×防振ゴム」の2つ。
- ヒヤシンスチームは、「ゆらゆらベビーカー」
- うめチームは、「防振ゴム×自転車」
- みかんチームは「防音耳栓」
プレ発表では、ややグズグズ気味だったけれど、成果発表会では見違えるようにしっかりプレゼンができました。提案内容は、技術面、コスト面など要検討の点は多々あるものの、プレゼンとしては、PREPに基づいて、きちんと形が整っていたと思います。企業や社会への貢献を念頭に置いた議論の末に提案された商品であることが伝わってきました。だから審査員の方々も、本気で講評、意見をくださいました(もちろん、教育的配慮してくださった上で)。審査の結果、優勝は「うめチーム」、倉敷化工賞は「ヒヤシンスチーム」になりました。各チーム、今日の提案とこれまで出されたアイデアの種をまとめた「提案書」を作成し、倉敷化工(株)様に提出しました。4チームとも、いずれも優劣つけがたい、よく頑張った企画でした。
審査員の皆様、ご多用のところ、本当にありがとうございました。
学生の皆さん、防振ゴムという難しい課題に、よく食らいついてきてくれました。ご苦労様。
講義の様子
Aクラス(火曜3,4時限) | Bクラス(水曜5,6時限) | |
第 1回 | オリエンテーション コミュニケーションのルール |
オリエンテーション |
第 2回 | コミュニケーションスタイル 多様性の理解 |
コミュニケーションの価値と多様性の理解 コミュニケーションのルール |
第 3回 | プレゼンテーション | 相手に伝わるコミュニケーション |
第 4回 | 発想法(1) | 科学的に考える |
第 5回 | 発想法(2) | 発想法を学ぶ(1,2) |
第 6回 | 論理的思考法(1) | 論理的思考法を学ぶ(1) |
第 7回 | 論理的思考法(2,3) | 論理的思考法を学ぶ(2,3) |
第 8回 | ファシリテーション技法、振り返り | 振り返り |
第 9回 | グループワーク(課題解決型学習) | PBLのオリエンテーション(1,2,3) |
第10回 |
【全学ニュース記事】 |
【全学ニュース記事】 |
第11回 | グループワーク(課題解決型学習) | 新製品のアイデア出し |
第12回 | グループワーク(課題解決型学習) | 新製品の企画仕上げ |
第13回 | プレ発表会 | プレ発表会 |
第14回 | グループワーク(課題解決型学習) | 企画の修正 |
第15回 | 成果発表コンペ | 成果発表コンペ |
第16回 | 振り返り | 振り返り |
<参考リンク> 全学ニュース記事へ 受講生有志が企画・制作したPRサイト