「有力多国籍企業」が、なぜ海外で苦戦するのか 外資自動車メーカーの日本撤退など事例は多数

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過去には有力な外資自動車メーカーが日本市場から撤退したこともある ※記事と写真に直接の関係はありません(写真:yamachka1960/PIXTA)

多国籍企業による経済活動が活発だ。国連貿易開発会議(UNCTAD)のWorld Investment Report 2019によると、2018年の世界における海外直接投資額は1.3兆ドルに上る。また、経済産業省の「海外事業活動基本調査」によると、19年度の日本企業の海外事業活動の売上高は約263兆円である。

だが実際には、有力な多国籍企業が海外市場で苦戦を強いられる、または撤退するということも少なくない。例えば、米フォード・モーターは、米国ではトヨタや米ゼネラル・モーターズに匹敵する市場占有率を有する自動車会社だが、16年に日本市場から撤退している。

多国籍企業といえば、さまざまな国に拠点を置く巨大組織だ。広いネットワークを駆使し、より安く品質のよい中間財(部品やサービス)の調達が可能と予想される。本稿では、優位と思われる有力多国籍企業が、なぜ海外市場で苦戦するのかを考察したい。

脅威に対抗する現地企業

有力多国籍企業に対する現地企業の優位性に、「長年の取引経験を生かし主要な流通網を囲い込みやすい」ことがある。現地企業にとって有力多国籍企業の参入は脅威であるため、参入計画が明らかになれば、何らかの対応を取るだろう。「主要な流通網の確保」は、その方法の1つとして知られている。これが成功すれば、参入する多国籍企業は苦戦が予想される。

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