高井智光さん(関商工高校卒)

みなさんこんにちは。岡山大学経済学部経済学コース4年生の高井智光です。今回は私が経験してきた海外体験について書かせて頂きたいと思います。

海外留学・体験について

大学2年生時に行ったタイカンボジアを始めとし、これまでにシンガポールアメリカパレスチナ中国韓国インドに行くことが出来ました。そのうちアメリカはEPOK(岡山大学の交換留学制度)を利用して、2013年8月から2014年6月までCalifornia State University Fullertonに1年間留学し、インドでは2014年12月から15年2月にかけて経済産業省の国際即戦力インターンシップ事業を通し、インドでMicrofinanceのパイオニアであるBasixという企業で3ヶ月間のインターンをしてきました。また、アメリカ留学中の2013年11月にはパレスチナの政府主催のイベント、Palestine Weekに参加した時にはパレスチナの大統領であるモハメド・アッバス議長とお会いすることが叶いました。

ことの始まりは、大学2年生時に参加した岡山大学国際センター(現:グローバルパートナーズ)の小川先生がつくられたプログラム、タイとカンボジアに行き国連、JICA、NGOの機関を訪ね、現地で活躍される日本人の方にお会いし、現地の学生とも交流する機会を持てたことが大きかったように思います。同じプログラムに参加しておられた先輩方で、既に交換留学に行かれた方々が流暢に英語を使いこなしている姿に強く憧れると共に、海外で出会った日本人の方々がただ夢を語るのではなく、厳しい現実を目の当たりにしながらも実践躬行されている姿にとても感銘を受け、「自分もこの方々のようになりたい!」「世界で働きたい!」と思い始めるようになりました。

とは言っても、すぐに海外に行けるほどの軍資金を持ち合わせていたわけでもなかったので、タイ・カンボジアから帰ってきた後に交換留学制度のEPOKに応募するためにTOEFLの勉強を始め、興味のあったNGOの活動としてTICAD Vの活動に岡山で参加しました。

もともと英語が得意であったわけではなかったためにTOEFLの勉強はとても苦労しました。どれだけ勉強しても伸びが感じられず、また、同じ年度にEPOKに応募したメンバーの中には帰国子女の方や、これまで海外で語学研修を参加したことのあるメンバーもおり、その友人たちが早々とTOEFLのスコアを取っていくのを横目で見ながら、もう諦めた方がいいのではないかと何度も思いました。石にかじりつく思いで勉強し、なんとか校内選考を突破し、JASSOからの奨学金が支給されることが決まったときはとても嬉しかったのを覚えています。今思うとあの時に諦めなくて本当に良かったと思いました

留学に行く前も苦労していたつもりでしたが、留学に行ってからの方が英語力のなさが頭打ちになることは多くありました。大学1年生の頃からEnglish Café (現:L-Café)に行き、留学生とよく交流していたつもりだったので、会話にはさほど問題はないだろうと過信していたのですが、実際に行ってみて日本人のアクセントに慣れているアメリカ人留学生と現地の学生と話すのはわけが違うことに気がつきました。それにも関わらず初めの学期から難しい授業を取りすぎて、毎日必死になりながら勉強した日々を今でも覚えています。最初は成績が悪くて2学期目を履修すること出来ずに日本に返されるかとも思いましたが、結果的には日本で取ってきた成績よりもよい成績をとることが出来ました。この経験のおかげで自分が思っていた限界は本当に限界なのではなく、自分が限界だと思って決め付けているボーダーラインであったのだと感じました。                  
 
交換留学から帰国し、留学経験者向けの就活セミナーに参加した後、もう少し海外で挑戦したいと考えていました。そんな中、国際センターの先生が経産省のインターンシッププログラムについて教えてくださり、すかさず応募しました。インド企業だったので、毎日インド人社員に囲まれての仕事は楽ではなかったですが、時が経つに連れ、仕事にも慣れ、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。一番の収穫は日本の外で働くときにどのような能力が必要とされ、どのようなコミュミケーションを取るべきなのかが具体的にイメージ出来るようになったことです。仕事内容は主にソーラー事業の担当を任され、インドのソーラー事業に対する理解と、取引先であった白物家電大手の日系企業との関係の中でインドにおける日系企業のリアルなビジネス事情をインド企業側から見ることができたのはとてもいい経験でした。

大学に入ってから、これまでもちろん想像もできなかったのですが、多くの海外経験をさせていただきました。それまでは、海外に行くとなると「お金がかかる」と思っていたので、自分がこれだけ海外に行けることになるなど夢にも思っていませんでした。当時よく「自分はお金がないから海外に行けない」と言い訳をしていたのをよく覚えています。今なら、アメリカ留学に行く前にある国際センターの先生が教えて下さった、「チャンスはいたるところに転がっていて、必死に情報収集をして拾えるかどうか」ということの意味が少し理解出来るようになった気がします。

インドでインターンしている間にはクラウドファンディングを利用して自分の夢を追いかけて世界一周をしている日本人を3人もみることが出来ました。この数字が大きいか少ないかの判断は個々の感じ方かもしれませんが、インターネットの発展と共に資金集めの容易化し、「お金がないから○○できない…」というのは言い訳になり得ない日が来ているのだなと感じました。自分の場合、パレスチナに行けたのはTICAD Vの活動を通して知り合った経営者の方がパレスチナ政府のアドバイザーの方とつなげて下さったからであり、インドに行けたのは国際センターの先生がインターンシップの情報を教えて下さったからでした。そのため、情報収集はインターネットだけでなく、人から得る情報も大変重要なものだと思います。

(California State University Fullerton留学中の写真)

今では岡山大学はスーパーグローバル大学に採択され、交換留学先の大学枠が拡充し、日本学生支援機構のトビタテ!留学JAPANなどのような留学用の奨学金制度が充実しています。「お金があるかないか」ではなく、自分で情報を収集し、いかに行動するかによりチャンスをものにできるかできないか、という状況になってきているのではないかと思います。

かけがいのない学生生活の過ごし方は各個人が責任を持って決めることだと思いますが、岡山からより多くの方々がチャンスをつかみ、希望を持って世界で挑戦出来るようになることを願っております。

自分のように高校時代はサッカーに没頭するために実業高校を選び、全く勉強して来ずに推薦入試で岡山大学に入学した者でも留学し、海外インターン出来たことを考えれば、優秀である岡大の学生の方々にはもっと可能性があるはずだと思っています。少々荒削りではあっても、大学時代に失敗経験を積むこと、そして一歩を踏み出すこと、行動をすることにより未来が開けてくるのが、学生生活の醍醐味の一つであると思います。

 

2012年度入学