滕ゼミでは、「中国」という国に焦点を当て勉強しています。みなさんは中国についてどのようなイメージを持っているでしょうか。政治経済や歴史文化はもちろん、日本との関係、そして世界経済という大きな枠組みの中でどのような位置づけにあり、どのような役割を担っているのか…など、隣国に住んでいながらも知らないことだらけかと思います。また、時として過剰な報道等で生まれる間違った知識やネガティブなイメージが、双方の関係に水を差していることも悲しい事実です。
これらを踏まえ、私が考える滕ゼミの魅力は次の2点あります。
1については、スタートの部分は中国という一つの国かもしれませんが、それらに付随するものを深く掘り下げていくと、世界全体を見渡すことも可能です。世界経済に関心がある方にもお勧めです。2に関しては、自分の意見や結論を導く前に、様々な情報を集め、多方面から考えるという過程が必要とされます。全体を俯瞰し、ワンクッション置くことでより、深みのある思考ができるのではないでしょうか。
最近ゼミで使用した本は、『日中「歴史の変わり目」を展望する日中関係再考』(天児慧編)、『中国リスクと日本経済』(石山嘉英)です。社会主義市場経済、産業発展と企業改革、労働市場や金融・資本市場、対外開放と国際関係、これからの課題など、ゼミ1.2年次は制度・経済政策やカテゴリ別に基礎から勉強します。
また、時事問題にも注目し、各々がそれらについてまとめ、考えや疑問点を発表することもあります。昨年度取り上げたテーマ⇒3年ぶりに行われた日中首脳会談、北京APEC首脳会議などでした。年に1、2回ディベートの場を設けています。最近の議題は「一人っ子政策は継続すべきか否か」、「今日本企業が中国での事業を縮小すべきか、拡大すべきか」でした。
ゼミで勉強する内容や取り上げるテーマは、ゼミ生全員の意見を聞いた上で決定されます。日ごろから新聞やテレビ等を通して、自分の興味がある分野を見つける姿勢を養い、4回生での卒業研究・卒業論文に繋げます。今年度4回生の卒業研究のテーマは社会保障、銀行、物流…など幅広いです。
週に1回ゼミがありますが、輪読と報告を中心としています。大まかな流れは、次の通りです。研究書について各章ごとに報告者が決定され、ゼミの時間において報告者はレジュメやパワーポイントを用い発表⇒先生の補足説明や質疑討論を行います。他のゼミ生の報告を聞き、1人で本を読んだときにはなかった発見や新しい知識を得ることが目標です。
時には、ゼミのテーマに合わせて、音声・映像資料(DVDなど)を観たり、ディスカッションをしたりします。また、中国に関係の深い会社を訪問したり、上海など海外旅行をしたりする年もあります。このような、中国を現地で見聞し肌で感じて学ぶことはこのゼミの大きな特徴と言えます。
中国という国は、国土面積も大きく事情も複雑で、何においても一言でまとめることが非常に難しいです。たまに堅い内容(経済や政治、辿ってきた歴史など)から目線を移して、現地の方が自分たちと同じように生活する様子を知ると親近感を抱くこともあります。日中関係の課題は多くあると思いますが、ソフトな面から隣国を知ることも大事だとゼミを通して学びました。
石原千歳(兵庫県立加古川東高等学校2012年入学)
(この文章は、平成27年度に書かれたのもです。)